2017年1月24日火曜日

オムライス

昔々、わたくしの母がまだ少女だった頃の話。
昭和20年代後半くらいですかねえ。
少女母がそのまた母、つまりわしわし祖母と一緒に駅前までお出かけして百貨店の洋食屋さんをチラ見したらしいんだな。
で、ショーケースのオムライスを見て、あの綺麗な黄色い玉子包みご飯が食べたい、と少女母が祖母に頼みこみまして、料理上手の祖母が「うち帰ったら作ったんにー」てなこと言って腕によりをかけてその未知のご馳走「オムライス」を自作してくれたそうなんだな。
だがしかし家の誰もオムライスというものの詳細を知らない。
で、とにかく綺麗な薄焼き卵でチキンライスを包んであったっぽい、ということで、祖母と母が調理法を推測した結果「薄焼き卵で餅米とケチャップと具材を包んで蒸しあげたのではないか」となりまして、それに違いない、で、錦糸卵みたいな美しい薄焼き卵を焼いて餅米とケチャップを包んで蒸してみたものの、どうもお米がふっくらする頃には全体がべちゃべちゃになってうまくいかない。「やっぱお店は違うんやにー」と納得してお手製オムライスを食べた、というエピソードで。

…なかなかイイ話だなあって好きなエピソードなんです。薄焼き卵で包んで蒸すってなかなかのアイデアだなーと思う、まあ間違っているんですけどね。蒸し寿司とか茶巾寿司とかの一種だと思ったんですかねえ。
「まさかチキンライスを別に作っておいて後から合体するとは思わなかった」と母の弁です。

そんな心温まる昭和エピソードを思い出したのは、作り方非公開の工作物を画像から素材と製作手順を推察するという難業に取り組んでいるから。樹脂?皮膜?アクリル?樹脂粘土?ワイヤー?描いたの?盛ってるの?
一晩考えて、すけるくん(透明樹脂粘土)で土台を作ってあと半乾きのうちにライン彫ってさらにコート剤かなー、という手堅い方法に行き着く、正解かどうかより手堅さがですね、うん。

食べたことないオムライスを作るのは難しいなあ。