2014年12月5日金曜日

Twinkle, twinkle, little box

大きなリボンのついた箱を開けると


 


そうです、そうです


 


遠眼鏡を覗くように、


 


黄金糖の色の街灯、続く石畳、キラキラのモールで飾ったアーケード、スピーカーからはクリスマスソングが流れています。


立ち並ぶお店はカバン屋さん、本屋さん、床屋さん、ふとんやさん、紺ののれんのおそば屋さん、紫のガラス窓の喫茶店、カバン屋さんの工房、マルチーズのいるパーマ屋さん、電器屋さんの店先にはキドカラーの鳥の置物と犬小屋が並んでいて中ではシェパードがまるくなっています。その隣は公園、アオキの樹に赤い実がいっぱいです、それから向かいに酒屋さん、小さな市場の前ではお肉屋さんが特別に屋台を出して焼きたての鳥のももを積み上げています、そしてみかんとりんごを並べた果物屋さん、八百屋さん、パン屋さん、タバコ屋さんと「たばこは地元で買いましょう」ののぼり、お店の前の赤いポストには「年賀状は25日までに」の貼り紙。


ひときわ明るいのは赤と緑の豆球で入口を飾ったケーキ屋さんとおもちゃ屋さん、ケーキ屋さんの重いガラス戸を引くと甘い匂いがこぼれます、バラの形のクリームに豆球と同じ赤と緑のゼリーを乗せて銀色の粒もキラキラしています、食べずに眺めていたいような可愛らしさですが、今夜は切り株の形のケーキを買います。ひいらぎの葉にきのこの飾りも乗っています。お城の絵の箱に細い金色のリボンをつけて、店員さんが「メリークリスマス」と言いながら手渡します。


アーケードを抜けた脇道は、すぐに石畳もなくなって、こぎみよい靴音が急に音をひそめます。アパート、二階建てのお家、一階だてのお家、空き地。アーケードの灯りもジングルの音も追いつかなくなって窓と窓の灯りが浮かびます。日暮れに通ると吠えるのは裏のゴンです。おじいちゃんが「ゴン、静かにしなさい」と言う声が続きます。


ちょっと屈んで木の柵の門を開けて、枯れてるみたいな(あと少しで賑やかになるのです)ねこやなぎとれんぎょうの枝をくぐって、お家の中を覗きます。


こどもたちが枕元に置くくつ下を選んでいます、大みそか以外の夜はこどもは9時に寝る約束なのですが、今日は晩ごはんとケーキを食べたらいつもより少し早く寝ようかと相談しています。そうしてプレゼントを入れていくところを見たいのですが、どんなに早く寝てもぐっすりと眠ってしまってまだ見たことはないのでした。


そのお家の扉を開けて、


 


 


そんなお家を抱えた街は


 


大きなリボンを形よく結わえた正方形の小箱です。