明日はすべてが判るもの、ときたもんだ、そうあってほしいと願うよ。春の嵐の夜のわしわし。
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そうか、あれは、チュベローズっていうのか。
香水とかあんまり好きじゃなくて普段も匂いのものは常用してないんだけど、ハタチ前後の頃、いっこだけ好きな香りがあった、かなり甘い花の香りで、普段使いするような匂いじゃないので買わなかったけど売り場に行くと嗅いだ、虫か。
長年、くちなし(ガーデニア)かなあ、と思っていた、違った、チュベローズという花だそうで、ローズと付くのでバラかと思いきやそれも違って、竜舌蘭の仲間らしい。和名を月下香という。
しかし香りは難しい。
通りすがりにふわりと香るのがとても良いなと思っても、自分が付けると「通りすがりにふわりと香る」わけにはいかないという、理の当然、自明の理。
同心円状に拡がる香りの一番外側の円くらいに居たいのに、常に自分が中心になってしまうという、自同律の不快、ああそんな大仰なことではない、自分で自分は通りすがれないのだねえ、と。
近年すっかり頭痛持ちになりつつあるので、通りすがれない香りは危険、誰か良い匂いの人が通りかかってくれればいいなと期待することにする。待ちぼうけ。
香水で思い出した。
ランバンの香水(オードパルファン)で「マリー・ミー!(Marry me!)」というのと「ミー ロー(Me L’eau)」というのがあってね、見るたんびに「ロールミー!まであとちょっと」と思うのよ。ロールミー!、どんな香水だろうな。完熟でまとわりつくような情熱的なやつかな。甘くて動物系でラストノートはちょっと抹香。
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家族のアジア紀行土産、シンガポールの紅茶の名門・TWGのフレーバーティーが猛烈にいい香り。
朝から晩までコーヒーばっかり飲んでる日々のあいまに、たまに飲むといい気分転換になる。
カタログ見ると「ゲイシャ・ブロッサム・ティー」って随分な名前のフレーバー緑茶もあるみたい、缶の絵がまたいい錯誤感。カンザシ刺さってますよ。
あ、そういや、高級コーヒー豆で有名な銘柄の「ゲイシャ」は「芸者」の意味じゃないんだってね、産地の村の名前だって。こないだ初めて知った。
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地下街にあるいろんな意味でアンダグラウンドなサブカル古書店で、マッチ箱購入。コレクター放出品ぽい。
お店の感じは、小タコシェって言ったら想像つくかしら、だいたいそんな、あ松沢さんの著作も揃ってら。
価格が、かなりお値打ちなのです、全体に。名古屋価格かな。
謎のおねえちゃんがいざなう百老亭、日本一のロココ風呂、美味しい珈琲の味と香りが漂うカフェ・ド・未来。
こんな小さな箱にいろんな野望が背負わされていますよ。
ところで香りが漂うのはいいとして味が漂ってはいかんのではないかしら。