2013年4月27日土曜日

お知らせでギョざいます

グループ展の顔合わせ行って宣伝ハガキ頂く。


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EXHIBITION 「裏ノ裏ハ表ジャナイ?」


2013.5.23〜26


pH-7地下劇場(名古屋市中区新栄2-6-5中島ビルB1)


出展者/石神竜一、柏直実、久野周一、小森祐美加、田岡一遠、竹内義直、服部道和、菱田一雄 (50音順)


 


宣美はもちろん田岡さんです。


えー、ハガキ受け取り時にみちさんの「フナなのにアイナメ」というベッタベタなおやじギャグを聞いてしまったため、もう、この絵見るとそのフレーズがもれなく浮かぶようになってしまった。い、いんぷりんてぃんぐ。


 


参加者が全員漢字の氏名のグループ展に出品するのって初めてです。なんか緊張するよ(そこ?)


 


顔合わせ後はマニアック中華。


干豆腐と幅広米粉があればひとまず満足なのだな。


 



 


ハンズ行ってシモジマ行ってダイソー行って、要るもの買って、あれば使えるかもしれないもの見て。


脳貧血でふらふらして。


そうして一日終わります。


日がなごうなりもうした。


世間はもう大型連休突入ですか。


 



 


階段の下の右手の方に、わたしはほとんど直視できないほどの輝く玉虫色の小さな球体を見た。最初わたしはそれが回転しているのだと思ったが、やがてその運動は球体が内包する目くるめく光景によって生み出された幻覚であることが分かった。アレフの直径は二、三センチというところだろうか。しかし宇宙空間がそっくり原寸大のままそこにあった。ひとつひとつの物は無数の物であった(たとえば鏡面といったもの)。なぜならわたしは明らかにその物を宇宙のあらゆる地点から見ていたから。わたしは人間のごったがえす海を見た。梁明と黄昏を見た。アメリカの群集を見た。黒いピラミッドのまんなかで銀色にひかる蜘蛛の巣を見た。破壊された迷宮(それはロンドンであった)を見た。まるで鏡をのぞきこむように、わたしの内部を間近からじろじろ見ている無数の目を見た。わたしは地球上のことごとくの鏡を見たが、そのどれにもわたしは映っていなかった。またわたしはソレル街のとある奥庭に、三十年前フレイ・ベントスのある家の玄関で見たのと同じ舗石が敷きつめられているのを見た。葡萄の房、雪、タバコ、金属の鉱脈、水蒸気を見た。赤道直下に起伏する砂漠とその砂粒のひとつひとつを見た。インヴァネスでは忘れえぬひとりの女を見た。その激しくふりみだした髪、その驕れる肉体を見た。彼女の乳癌を見た。とある小径で、以前そこに樹木があった跡の、乾いた土の輪を見た。アドロゲにある一軒の別荘、プリニウスの最初の英訳本、フィレモン・ホランド訳を見た。その各ページの文字のひとつひとつを同時に見た(子どものころ、わたしは閉じた本の文字が夜のうちに混じりあって消えてしまわないのを、しばしば不思議に思ったものだ)。わたしは夜を、そしてそれと同時に昼を見た。ベンガルの薔薇色を反射するかに見えるケレタロの西方を見た。がらんとしたわたしの寝室を見た。アルクマールのとある陳列室で、二面の鏡のあいだに置かれた地球儀が無限に数を増してゆくのを見た。暁のカスピ海の岸辺をゆく、渦巻く鬣をした馬たちを見た。一本の手の華奢な骨のかたちを見た。戦いの生残者たちが葉書きを書き送るのを見た。ミルザプールの飾り窓にひと組のスペインのカルタを見た。温室の地面に斜めに落ちる羊歯の影を見た。虎とピストンと野牛と大波と軍隊を見た。地に這う蟻のことごとくを見た。ペルシアのアストロラーベを見た。事務机の引き出しのなかに(その筆跡はわたしをふるえさせる)ベアトリスがカルロス・アルヘンティノに出した、淫らな、信じがたい、的確なことばで綴られた手紙を何通も見た。チャカリタで慕わしい墓碑を見た。かつては恍惚をさそうベアトリス・ビテルボであったものの恐ろしげな遺骨を見た。わたしの暗い血液の循環を見、恋のからくりや死の変容を見た。わたしはあらゆる地点からアレフを見た。アレフのなかに地球を、そして地球のなかにアレフを、さらにこんどはアレフのなかに地球を見た。自分の顔と自分の臓腑とを見た。あなたの顔を見て眩暈を感じ、そして泣いたのだ、なぜならわたしの目は、その名を口にする人は多いがだれも見たことのないあの秘密の、推量するしかないもの、すなわちあの思量を絶した世界を見てしまったのだから。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス「アレフ」、『不死の人』収録