2017年11月26日日曜日

テイクツウ(光の景色)

そいでまあ、何に「はかなさ」や「うつろい」を感じるか、残したい衝動に駆られるかというのはもうほんとに人の数だけある訳で。
土門拳は「仏像は走っているんです。急いで撮りなさい!」と篠山紀信に言ったそうである、一般的には静物であるところの仏像も土門拳の目には猛スピードでうつろうものだったのだ。なぜ土門拳がそう感じるに至ったかは本人が随筆に書き残している(「走る仏像」『古寺を訪ねて―京・洛北から宇治へ』収録)。
自分の経験で言うとまさか貨物列車や戦闘機、あんな武骨でクソ頑丈な物にときめいて撮影するようになるとは思ってもなかったので、人の好みや感覚って変わるもんだなあと実感しています。TACデパーチャーのブレイクする瞬間がフィギュアスケートのペアのミラーユニゾンみたいで綺麗で完璧で胸がきゅっとするわけですよ、なんとかしてあの瞬間をそしてこの胸のきゅっを残してみたいものであるなあと思っちゃうんですよ、ハードルはすさまじく高い(TACデパーチャー撮影は戦闘機撮影の中でもかなり上級者向き&運)。

あなたを見るということはあなたの表面が再放射した光を見るということ。可視光線が視物質中の発色団を反応速度200フェムト秒のスピードで異性化して構造変化のシグナルが視神経を走り、わたしはあなたの形状を受容・感知する。光は留まらない。先へ、先へ直進する。
長い波長を反射する夕刻、610nm橙色から630nm茜色へ移るあかい街並みの光景。何もかにもが走っている、移っている。走る光を反射して、仏像もまちも駆け抜けていく。やがて太陽光を失い闇になるまで。静止しているものなどないのです。

2017年11月24日金曜日

テイクワン(移ろう街と路面電車)

こないだのラストシーンの影絵は路面電車だったのかしら。

先日ノーベル文学賞で話題になったカズオ・イシグロは読んだことないですが、講演会か何かで作家活動をはじめたいきさつを語っている記事を目にして「ああ」と思ったのを覚えている。現実の記憶でさえない、記憶の中にしかない幻想のまちを書き留めておきたいと思ったこと、そしてまちの中を走る路面電車の音…のことを話していた。
路面電車という。その作家の記憶のまちのベースが長崎なので路面電車が出てくるわけだけど、わたしはナボコフの「ベルリン案内」の一章を思い出して、うしなわれるまちの記憶と路面電車の関係について思ったりした。
うしなわれるもの、消えていくもの、移ろうもの。季節でいえば春と秋、時間でいえば朝方や夕方、人で言えば幼年期と老年期、たとえばそんな。
平安時代の古歌に歌われた季節を見るとほとんど春と秋が占めていて夏冬は少ない、この時代の歌人にとっては春と秋の二季がメインであって夏冬は只の季節の折り返し点という感覚だった、と、大学時代古歌研究の先生が言っていた。移ろう季節にこそ美を感じるのだと。日本人独自の美意識なのか世界共通なのかは知らない。統計上は知らないが洋画に描かれたのだって春と秋の情景が多そうだし、特に印象派あたり、とかく花が咲いたり麦が実ったり葉が舞ったり春秋は絵になるのだと思う。
移ろうもの消えていくもの定着しないもの、刻一刻と色や姿を変えていくもの。以前わたしは「ものがたりの目は動くものしか捉えられない蛙の目に似ている」と思った。ここでもそう思う。動くもの変わるものに衝動を掻き立てられて書き、描き、写し、残そうとするのだ。目の前にあるものも、薄れゆく記憶の中のものも。たとえばや夏より秋、昼より夕方、青年より児童、鉄道より路面電車。美のはかなさではなくてはかなさが美なのよ、1秒1秒ごとに変わる君。

航空祭に行く時に岐阜まわりで各務原へ向かった(鵜沼まわりより少し空いてる気がする、少し)。JRから名鉄に乗り換えるので少し駅の外を歩いた。岐阜で駅舎の外に出るのは20年ぶりくらいになるかしら。お綺麗な駅ビルやお綺麗な回廊にロータリー、よくある近代的な駅前の景色だ。昔岐阜にせっせと通った頃はまだ路面電車が走ってたっけ、と思い出していた。路面電車が走り出す時のあの独特の音。先ず車掌の鳴らす発車ベル、続いてスーと滑り出すような、重いのか軽いのかわからない加速音、それから、カタンカタンと揺れる音。記憶の中のまちを走る。

来年は『街の麦』(カトチの会)をオージャカンで再演するというので当時の記録映像を観た。たしか上演期間が2日か3日間くらいしかなくて凄い混んでて、立ち見さえもぎゅうぎゅうで舞台の上空の方しか見えない状態で見た、ミカンの缶詰。当時ちょうど名古屋駅の駅舎取り壊しがあってそれに絡めた場面があったっけな、というのは覚えていた。改めて見るとまちの再開発がモチーフの一つだったんだな。古いビルは建て直し細い曲がりくねった路地は拡幅して真っ直ぐにし、渋滞を解消し構造を強化する、それがまちの再開発、そしてクズネッツの波。

今時の地方都市の再開発の主眼は「まちのコンパクト化」らしいですね、どの自治体もそんな目標を掲げる、高齢化と人口減少に対応すべく都市機能をぎゅっと集約させるのが肝心なんですって。風呂敷を畳むようにまちは変わっていきます。曲がり角を曲がると何もない景色です、向こうは畳まれてしまったまちです。路面電車はもう向こうまで行ってしまった。そして曲がり角も無くなります、いつか。

2017年11月22日水曜日

霜月下旬

言葉にしても詮無いこと、言わない方がいいこと、言ったところでどうしようもないこと、そんなことが確かにあるのだけれど。
それでも言わずにはいられないこともあるわけで。
口にしたところでなにかなるわけじゃないのは百も承知だけど言わせてください。
 寒いよ! 寒すぎだろ!
どーなってんのこの寒さは、え、11月だよね?例年なら大掃除してる寒さだよ、もー。

 ◇

ディーン&デルーカを覗いていた時、隣の女子が言ったひとこと。
「クリスマスの圧が凄い」
そうなの、もうお店入るとクリスマス仕様のお菓子やらシュトレンやらアドベントカレンダーやら飾りつけやら、店内が猛烈にクリスマス推しなの。
 「わーい、今年もクリスマスがやってきたね」っていうより、なんかプレッシャーを感じるのよね。どういうプレッシャーかわかんないけど。

2017年11月21日火曜日

岐阜基地航空祭2017

岐阜基地航空祭行ってきた!

やった晴れた!結構あったかい!何着てったらいいんだろう?コートは暑くなると荷物になっちゃうかしら?でも病み上がりだし寒いらしいしダウンのコート着てくか!

…って出支度の時にちょっと夋巡しましたが、いやダウンのロングコートで大正解。っていうか会場到着した時は晴れててあったかかったのに、ブルーインパルスの飛行展示が始まる頃にちょうど雨降り出して。
最初はお天気雨っぽいパラチラ降りだったのが、演技がたけなわになる頃には結構な降りに。
なにその罠!
現地の天気予報ではちゃんと「正午ごろ雨」って言ってたらしいんですけど、iPhoneのお天気のしかも名古屋のしか見てなくて予報は「ところにより曇り」程度だったんで降ると思わず…
はい情報収集が甘かったんですよ。

あと、今回は三柿野駅のひとつ手前、六軒駅で降りて新北口から入場してすぐにシャトルバルで南会場に向かったんですが、南会場の撮影ゾーンは雨降り出した時にパッと逃げ込める屋根が無くてねー。
濡れたくない人は屋外展示の戦闘機の機体の下で雨宿りをされてましたよ。

今年なんで六軒駅~南会場のルートを選んだかっていうと、
・ブルーインパルス来るってんで電車の時点でめっちゃ混んでた(三柿野~北口の大混雑が容易に予想できた)
・北会場だと逆光になるので南会場から撮ってみたかった

六軒で降りる人はまばらでしたが、それでも新北口もまあまあそこそこ混雑しました。三柿野よりはうんと少ないと思うんだけど、六軒から新北口だと21号線の信号がボトルネックになっちゃうのね。三柿野ルートは川崎重工の敷地を通ってくから信号横断はないもんね。うーん痛し痒し(って言うのか?)

ま、そんな感じで天候には恵まれませんでブルーインパルスもアクロバティックな演技はほぼ無し、水平編隊メインの構成となりましたが、氷雨にかじかむ手で勇姿を撮影してきたよ。
南会場は思ったよりエプロンから遠いね、失敗したなって思った。あと移動でTACデパーチャー見逃した。ああん。

あいにくのコンディションの中ベストを尽くすT-4達。

ブルーインパルスの飛行展示の後はアクロバット飛行チャンピョンの演技があったのですが、身体が冷え切っちゃったので一旦離脱、厚生棟の売店(ファミマ)に入ってホッと一息&ポケットレインコート購入。
そして北会場へ戻って格納庫の展示を見てまわり、シメの異機種編隊を見る。

今年はブルーがメインだからか、岐阜基地名物異機種大編隊も小ぶりな編成なのね(C-1、F-2、F-4、F-15)…と思っていたら、さらに悪天候のためF-4も飛行キャンセル、C-1とF-2、F-15の3機での編隊となりまして、代わりにっていうか編隊飛行から1機ずつ離脱して旋回したり超低空飛行を披露したりしてくれましたよ。
離陸中止でタキシング・バックしてきたF-4、航空ファンの声援に手を振って応えるパイロット。
デジタル迷彩は各務原飛行場百周年記念の特別塗装。


F-2、岐阜基地塗装機。
ヴェイパー無いとなんか静止画ですね、ひこーき撮影は難しいなあ。

F-15イーグルちゃん。後部座席のパイロットさんがバンザイしてます。

航空機撮影初心者に優しいC-1(機体大きい、比較的速度ゆっくり)。


帰還後手を振ってくれるパイロットさんたち。

因みになんで異機種大編隊が岐阜基地名物かっていうと、岐阜基地には飛行開発実験団がいるからで、飛行の開発と実験をするからには空自の所有する航空機がひと通りとテストパイロットが揃っているのだな。
例年だとC-1、F-2、F-4、F-15、T-7、T-4あたりで10~12機くらいの編隊を組むので「大編隊!」って感じなのです、しかもプロペラ機(T-7)と超音速機が肩を並べて飛ぶなんてちょっと他では考えられないのです、自転車で言えばロードバイクと三輪車が速度を揃えて走ってるみたいな、え、ロードバイクコケるよねそれ、みたいな、まあ見た目以上の超絶技巧なのです。ドーヤッテンダロ?

全展示が終わった瞬間に突然広がる青空に「今晴れんのかよ!!」の声があっちでもこっちでも、いやああの時の会場の一体感は凄かった。
まさかの青空
キラキラしてんじゃねーよ(泣)

そんでもって。
 先週初地上波放映がありましたのできっと岐阜基地はやってくれると思ってました、F-2にJDAMモックアップ爆装展示(オレンジ色がJDAM)。
こっちの銀色ミサイルはASM-2。
正面側は雨宿りの人で大混雑してたんで後ろ姿ね。

わしわしシン・ゴジラで一番好きなセリフは「三沢のF-2を爆装して上げるか?」なんです。なんでだろう、もっとキャッチーなセリフはいくらでもあるのに、なんでかあの航空幕僚長の言葉に萌えを禁じ得ない。どうして近くの百里(のファントム)じゃなくて三沢のF-2なのか、は、観た時は分からなかったけど。

そいや南会場に向かうシャトルバスの中で隣の若いお兄ちゃん2人がずっと「俺が思うにアンノはナディアがさぁ…」「第五形態の公式設定は…」ってずっと庵野話に花咲かせてたな、庵野監督好きな人って凄い語るイメージあるんだけどまさにそのものな2人。


自分土産、301飛行隊ケロヨン百里バージョン(隣は去年買ったニュータバルバージョン)。

基地内の出店でケロヨンのTシャツすごい好きなデザインあったなあ…
たいていは「301 Tactical Fighter」とか「Phantom」とかの文字が組み合わされてるんだけど、それは「BACK HOME カエル」ってバーンと大書きされてるの。で真ん中に百里ケロヨンの図なの。もうそのセンスすごい好き、大好き。
でもお財布入れたリュックの上からレインコートを着ちゃってるので雨の中コート脱いでリュック降ろしてお財布出してって難儀だなぁと思って買わなかった。そのうえ2年に1回くらいしかTシャツ着ないし。2001年に買ったTシャツがまだほとんど新品同様だし。いいんだもん。カエルばいばい。


タキシング中。 
ブルーの上を通過して帰る室谷アクロバット機。

帰投するブルーインパルスを見送ってわしわしも帰途に着きました。
来年も航空祭でわーいって言えるのどかな世の中でありますようにと思います。

2017年11月17日金曜日

冬の擬態

熱の中、夢とも現とも思い出ともつかないなんか寝床のたゆたいに、「楽日の大黒振り落としすげー早かったよなー」と何度も記憶の再現ビデオがリピート再生されます。いやまあ一応寝てるんで要するに意識のはっきりした夢なんだけど、後半日程の大黒落としが早かったのは本当。楽日なんか早すぎてびびったのも本当。もうひと呼吸あるかと思ったらすぐバルト入ったよね。平岡さんの手腕か。



ブドウ球菌から肺炎マイコプラズマまで呼吸器系感染症なら任せとけみたいな抗生剤を処方されまして、やっと病状落ち着きました。弱ってるとそのへんにふつーにいる菌に負けます。そいや小屋入りの日に口唇ヘルペスの兆候が出て慌てて帯状疱疹の時の塗り薬とアシクロビルの残り服んで治めたな、処置が早かったので軽く済んだ。帯状疱疹再発じゃなくて良かった。


先日の週末あたり、前の職場の上司が写真展をやるから来てとか言っててまー行けたら行きますとか答えてたんだけどやっぱり行けなんだ。公演直後でしかも場所が旧額田郡(現岡崎市)の山の中のグランピング施設(バス14便)だったのだ、行けたら行きますの気持ちに嘘は無かったんだけど物理的にほぼ行けないやつだそれ。
元上司は会社員のかたわら林業やっててセミプロのカメラマンでとなんかもう属性てんこ盛りの人であった、「僕って変わってるかなあ?」とか訊かれてなんかイラっとして「ふつーじゃないすか、そのくらいわりとふつーっすよ」と答えたのを覚えております。会社員らしからぬ人ではあった、永沢さんとハト坊を足したような性格で。山の上のきこりのヒゲじい呼ばわりしてました。ある意味気の置けない人でしたが2度と部下にはなりたくない系。

グランピング施設では「秋はコタツに入って紅葉を見ながらBBQ!」とか推してるようですが、どう考えても寒いだろうそれ。大人しく室内に入んなさいよ。


芝居やるとなんかももちゃんのこと思うな、普段から折節思い出すのだけど、なんかそれよりもっと生々しくもっと身近に。こういうのももちゃん好きだろうなとか、これってももちゃんに見せたことあったっけとか、なんか、ひゅんと、あの頃自然にそうだったように自然に心に浮かぶ。

お盆みたいなものかしら。

2017年11月16日木曜日

回復途上

すっかりこじらせて38度台から36度台を行ったり来たり、難儀な週になりました。
このくらい病まないと夢から醒めないのかな、悪夢かな。
病院の最寄の処方薬局がそのちゃんと稽古帰りに寄ったデニーズの裏で、あー雨の日は特別メニューがあるんだっけ、とか、あれからたった3週間かそこら?と思ったり。

次へ次へ進むのです。今年の冬は早いのです。



踊り踊る人たち見ながらの書き付け。恒例の唐突なポエムかってやつですよ。

ROUND
螺旋に伸びあがる蔓
大きなアールで舞い降りる花弁
膨らむ葉先の露

LINEAR
直線は土から空へ、地から天へ
水面に映る垂直立像
逆しまに群生する葦の陰

GRID
水平に、直角に、交差する
斜めに、鋭角に、平行に、等間隔に
葉脈の空間認知作用
綾なす女郎蜘蛛の巣

CHOREOGRAPHY
丸くはない、線状でもない、格子でもない
丸くもなる、線にもなる、交差もする
掌から腕に沿って背骨に
くるぶし通過、かかとを経由して爪の先へ
風も入らない場所で
遠くから吹き渡ってくる




2017年11月12日日曜日

閑中病有

倉庫整理の日は一旦回復したのに翌日の会社でかなり辛くなり、土曜日は病人。
息をしても喉が痛くて悪寒が続く。
体温見ると心が折れるから計ってなかった、改めて計ると75分とかの半端微熱、あーもう焦れったいやつだこれ。パーっと熱出てサッサと治りたいのに。
熱出す体力が無いとかだったら嫌だなあ、年々低体温が酷くなります。体内出血のせいで血色素量は89をウロウロしてます。毎日が高地トレーニングでした、特に和装で歌って踊る辺り。気力で動いています。そのうち気力で空を飛びます。

気力が尽きるとおしまいなので芝居が終わるまではなんとかかんとか気を張っていますがその気張りのせいで衝突もします。拘りが過ぎるというか視野が狭いというか。芝居のこと以外考えたくない、ご飯はちゃんと食べた?とか早く寝なきゃダメだよ、とか、たまには台本から離れてリラックスしなきゃ、とか、そういう日常的な一切の配慮が煩わしい、そういう心境に陥ってしまって優しい人を傷つけたりもしました。猛反省しています。

どこまでこだわるべきなのか、どこで妥協するのがいいのか、ここで折り合うのが最善なのか、それは諦めなのか止揚なのか。
日常では諦め慣れていても、こういう時にこういう場で諦めたくないこともあります。大概たいがい、そんな大したことじゃありません。他人からしたらドウデモイイことです。それでも。

作演出家の頭の中にある声やリズムや姿や、舞台美術家が思い描いた整然としたシンメトリカルな画や、振付家が作り出したキレ良くうつくしい動きを、ここに目の前に表し出したいのです。イデアのパルタージュです。あの想念どもを分割し共有したい。そしてその上に自分を乗せたい。自分では力不足かもしんないと思っても、それでも諦めたくはないのです。お前では駄目だと言われても。妄執かもしんない、それでも。


なんで舞台に惹かれるんでしょうね。リテイクもアンドゥも無い世界。それでいてこんなキリキリに攻めた構造。それがいいんだな、きっと、それで脳汁が出るんだな、きっとね。

2017年11月10日金曜日

終了と片付け

そして『人工恋愛双曲線』全10ステージを恙なく終えました。おめでとうございます。ありがとうございます。
約10年ぶりの舞台復帰でした。アンケートには「新人の身体訓練がなってない」と書かれていましたがわしわしのことだと確信します。30年目の新人です。永沢さんにも「トウの立った新人がいるなあ、カシワに似てるなあ」と思われてました。水商売でお店変わるたんびにニューフェイス入店って冠するみたいな、そのたとえもちょっと違うな、まあいいや。
そいやダンス稽古中、「(役者を続けているうちに)急に身体が動くようになる瞬間がくるよ、今がそれだよ」という30年前ニワシュウに掛けてもらった言葉を思い出してました。あの頃維新派はまだ日本維新派でした。ニワシュウも松本さんも鬼籍の人におなりです。

稽古期間含めてもたったひと月、なんだかいろんなことがあった気がしますしアッというまの気もします。まあ、そういうものですね。泣いたり笑ったり雨降ったり台風来たり晴朗なれど波高かったり小屋入り直前に男と揉めるよーな揉めないよーなこちゃこちゃこちゃこちゃしたり寒かったり暑かったり熱出したり。
どう考えてもこれは風邪の発熱の前触れ、という体調で楽日を迎えたためせっかく好きな舞台なのに最後の記憶が朦朧としてる、解熱剤で乗り切りました。微熱でぼーっとしながら舞台立ったこの感じってなんか身に覚えある、あ、IKILLの大阪公演だ、と思い出す。頭がぽーっとね。

あの様な構造の装置ですので出演者による舞台転換が多く、これがまた転換稽古も少なくて大変だったのだけど泣かされたのだけど決まるべきタイミングで決まるべき形に決まるととても気持ちが良い。目の端にチラッと上手側の舞監さんと同時にハケれたのが見えて心の中でガッツポーズしたり。

苦手のLED照明下の重ねだって全部綺麗に重ねられるととても気持ちが良い。なかなか難しい。難易度のぶん達成感が半端ない。
直前の場面のそれぞれの会話の台詞が重ねることで一続きの長い文章になる、そういう仕掛けに泡坂妻夫の『生者と死者』を連想した。袋とじのプロローグなのです。

面白い作品だったと思うんですよ。変化に富んでて。案外ちゃんと、不木的なエロもグロもナンセンスもとんちも織り込まれてて。なんだかちょっとだけ現実の猟奇事件とシンクロしたような場面もあって。
去年見た例の予知夢?ではもちくんと台所の片付けをしながら「再演したいね~」とか言ってたっけ、解決編というか伏線回収編をやってもいいんじゃないかとは思う、でもこれはこれでこういう場でこういう作品でいいかとも思う。
こういう記念写真はゆうごりんぽいな。


千秋楽翌日は恒例の倉庫整理、今回はあまり恒例ではない大廃棄大会でした。破壊あっての創造です、古いもの捨てて新しいもの作りましょう、わたしたち。

2017年11月9日木曜日

オフィーリアと百万山姥

公演期間折り返しの月曜日。明るい午前中の七ツ寺前、イケリョウに会うなり「髪の毛ツルツルですね」と言われて咄嗟に「なおちんに聞かせられない言葉!」って頭に浮かんでイケリョウの挨拶に返答できず。何に反応してるんだわしわし。

髪の毛ツルツルなのは純黒に染め直したから~。
茶髪っていうほど茶髪じゃないけど少し明るめの茶黒にしてたんで黒髪に戻したくて、でも時間なくて、カラーリンスで黒くしようとしたけどあんまり変化なくて、カラーリンスって白髪しか染まらないのなあ?、で、やっと黒染めをしました。
夏休み明けの高校生御用達みたいなヘアカラー買ってきてさ。

暗記ガムと転換アンチョコで必死にこなした舞台もなんとか中日には落ち着いて演技プランを考えられるところまで来ました。あるんです演技プラン。死人の演技プランが。

3ステージ目だったか、目を閉じる前に明転しちゃって瞼閉じるタイミングを失い、ずっと目見開いてた。終演後に夢二さんから「過酷な演技プランを選択したんだと思いました」と言われる、いやうっかりですと説明したらイケリョウが「じゃ閉じてあげればよかったですね」と言うのでその提案を採択して目口半開きの死人になる。イメージはジョン・エヴァレット・ミレイ描く「オフィーリア」です。恍惚とした表情で死の渦に飲み込まれていく女性。
ミレイのオフィーリアでいく、と決めてから、登場から舞踏会(「パラノイア・ターン」池田振付)までの流れが頭の中で繋がってとても気持ちが良かった。

火曜。珍しく、おーしまが観に来てたらしいです。「カシワさん出てきた瞬間に声出して驚いてましたよ」とこじくんからの報告があり、本人からも申告がありました。「出てるの知らなかったからゲッて言っちゃったよ」ですって。ゲッて。言うにことかいてゲッて。文豪、ヒドい。
終演後は足早にそそくさと帰っていったとのことです。おーしまにはこの芝居イヤだったかもしんない、ラスト近くの連続ダンスの辺りとか。言い訳はしません、これが今お見せできる王者舘と天野天街のベストです。


昔おーしまが「今の王者舘には死んでる人がひとりもいない」って言いかたをしてたっけな、何もせつなくないって。そうなのかもしんない。死の向こう側からの望郷や恩讐やら、そんなものがそこはかとなくかもせればいいなと思うのだけど(死人の役だからというんじゃなくて)、なかなかホンモノの山姥にはなれません。なかなか。

2017年11月7日火曜日

その子どの子


わちゃわちゃした時のそのちゃんの似顔絵。


そのちゃんの芸名候補のバリ・ゴンゾーって虎馬鯨の命名だったっけ?

後半戦

暗転中にハケたモノやヒトが明転時にチラッと見切れてしまうのを「もれる」などと言いますが。
小返しの時、モレやすいモノの対策のためにいろんな方法を試してハイジさんが暗闇を走るプランを試した後、ハイジさんが震える声でぽろっと言った「わたし、モレそう」がツボにはまって。わたしモレそう。

小返し中にはっつんがやったそのこちゃんの顔真似がものすごい似てて「する!そのちゃんそういう顔する!」って膝を打ちました。4コマ漫画のオチみたいな顔。

月曜から秀太郎さんと交代で現場サイドの若手の舞監さんがいらしてます。噂には聞いていたけど爪が長いのでびっくりしました。バミり剥がしに活躍しそうなお爪です。

怒涛の3日連続2ステが無事に終えられてホッとしました。関係者に挨拶だけして帰ろうと串カツ田中に寄ったら姫子たぐちん岩村君とOBOGが揃ってたのでそのまま残ってちょっとお喋り。現役メンバーは土曜昼に集中してたみたいです。

田中ではすっかりいいカモ、いや常連さんになってますね。夢二さんがチンチロリンで4連続奇数出しました。確率的にどうなんですかそれ。わたし今んとこ偶数しか出してないので割り勘はなんか割に合わない気が微妙にする、いや結局こうして全体的には平均への回帰が起きているのか。


作品の評判は良いようです。
客観的なことはもちろんわからないけど、案外みどころてんこ盛りで緩急に富んだおもろい1時間半だと思います。

10月後半は台風と雨ばかりだったけど11月は気持ちいい秋晴れです。

あっという間にあと2ステージを残すのみとなりました。わたし芝居に気持ち残っちゃう方なので、早くも不木ロスが始まりかけてます。

2017年11月4日土曜日

むしのいき

なおちんのテーマ曲が決まったようです。

♪あれ松虫が鳴いている
♪チンチロ チンチロ チンチロリン

自分でお歌いでしたよ。
串カツ田中のいいカモになってるようです。

2017年11月3日金曜日

初日

はじまたー


そして突然のタコパ