ツイラクするヒコーキと目を潰されるカメラマン、は、ピロスマニアの「ハリスの旋風」(作詞・あがた森魚)からいただいたイメージ。
激しくも右手に傾き落ちてく
巻取られたフィルムが宙返りながら
果かなくも左手にも揺れ落ちながら
僕も君も時の彼方へ消えかかる
大空には何も見えない誰もいない
ああプロペラと ただMECHANISM
エンジンの音以外僕も誰もいない
ああプロペラと ただMECHANISM
のち、港千尋の著作の中で、盲目のカメラマン、ユジェン・バフチャルのことを知り「光の触手」と題された一連の作品を見る。
光の触手、サーチライト。それも「あなたはそこにいるのか?」の問いかけだ。
そのコタエ。Response。Spiegelreflex(鏡の反射)。
盲人が手にした暗箱(カメラ・オブスキュラ)の中のライトレコード。
または機体残骸にまぎれたブラックボックスの中のフライトレコード。
そこにいるの?光の問いかけの答えはログに残る。空気にも光にも触れないシェルターの中で「今」ではないところへゆく。
そうしてすべての肖像写真はいずれ遺影となる。ココにいたよ。
そんな妄想。