2009年2月2日月曜日

絶対零度の空

ツイラクするヒコーキと目を潰されるカメラマン、は、ピロスマニアの「ハリスの旋風」(作詞・あがた森魚)からいただいたイメージ。

 

   激しくも右手に傾き落ちてく

   巻取られたフィルムが宙返りながら

   果かなくも左手にも揺れ落ちながら

   僕も君も時の彼方へ消えかかる

 

   大空には何も見えない誰もいない

   ああプロペラと ただMECHANISM

   エンジンの音以外僕も誰もいない

   ああプロペラと ただMECHANISM

 

のち、港千尋の著作の中で、盲目のカメラマン、ユジェン・バフチャルのことを知り「光の触手」と題された一連の作品を見る。

光の触手、サーチライト。それも「あなたはそこにいるのか?」の問いかけだ。

そのコタエ。Response。Spiegelreflex(鏡の反射)。

盲人が手にした暗箱(カメラ・オブスキュラ)の中のライトレコード。

または機体残骸にまぎれたブラックボックスの中のフライトレコード。

そこにいるの?光の問いかけの答えはログに残る。空気にも光にも触れないシェルターの中で「今」ではないところへゆく。

そうしてすべての肖像写真はいずれ遺影となる。ココにいたよ。

 

 

 

そんな妄想。