2011年2月1日火曜日

メイド・イン・フィクション

成田美名子が『花よりも花の如く』いう能楽師マンガを描いてはりますな。


お能好きには共感するところの多いマンガですわ。たぶんもともと凝り性なんだろうけど細い部分にも気をつけてよくよくお能の魅力を描いてはると思った。


魅力そのものがすごく細いところに宿ってると思うんですよね。ほんのわずかこくりと首を傾けたときの面の表情の変化にときめくとかそんなことに似て。


で、その連載の中で、TVサスペンスで能楽師絡みの展開が出てくるときの扱い方のぞんざいさをネタにしてた回があって。


ぞんざいっていうかちょっとでもお能知ってたら有り得ないってわかりそうな超展開とかね。アリバイ作りのために替え玉が舞台に出ていました、とかの。それぜってーバレるだろう!


さっきNHKでやってた推理物ドラマをたまたま観てたらまさしく超展開系だった。


初っ端から、本番(シテ幕入り)直後の鏡の間でシテが一人きりとか。この能楽堂の揚幕はオートマチックか!


つい面白がって最後までみちゃったよ。


能楽師のご自宅の応接間の隣の部屋が能舞台だったり、面打ち師がいつ何時でも作務衣だったり、面打ち師の自宅にはギャラリーみたいに能面がズラリと剥き身で並べられていたり、そんでやっぱり本番でシテ方が他人とすりかわっていたりしかも共演者が誰ひとりとして気づいてなかったり、エキゾチックでミラクルなジャパンを堪能しました。


出演・味方玄、能楽考証・観世喜正、ちゃんとした能楽師たちが関わっててどうしてこうなるんだろう。よくあることで慣れてるのかなあ。


能楽が小馬鹿にされてるようで私はしょんぼりするんだが。