2018年8月14日火曜日

終戦や映画

往年の二枚目俳優の池部良ってイケダリョウと一文字違いだな…と突然気がつくこの頃、考えていたのは池部良ではなく左卜全のことであった。
と、いうか、池部良が生前新聞夕刊にエッセイを連載していたときに左卜全と共演した際のエピソードを書いていて、その内容を思い出していたのである。

はてなのエントリーで当該部分を引用している人があった、

台本に細々と書込みをして台詞の一文字一文字にゴマ譜を打っていたというのがなんかもう凄まじいなって。
卜全さんといえば「老人と子供のポルカ」のイメージしかないんで綿密な演技プランを練るタイプとは思わなかったけど、実際は役者に命懸けてたみたいです。

夕刊連載時にこの記事を読んで『熱砂の白蘭』を観てみたいなと思ったのはそろそろ20年くらい前、スターは大量に出演しているんだけどそれほど評価が高くないのかビデオやDVDになる気配もなく、まあマボロシの作品かなーと思っていたら、なんと先週YouTubeにアップされてた。えっ。
マニアの人がフィルムで持ってたのかなあ、1951年作品、67年前ですか。

噂の左卜全の熱演箇所はかなりあっさりした場面になってたのでリテイクになったのかなと思う。まあ、見せ場は葛藤する木暮実千代とか夜襲のシーンとかだろうので、左卜全に6分の尺とられても監督も困ったのであろう。
練り練りの演技プラン報われねーな。そーいうもんだな。

セットとか風俗が山田参助『あれよ星屑』の大陸編によく似てるなあと思う、逆か、漫画が当時の資料をもとに描いてるんだよな。中国風の窓のしつらえや男性のズボンのシルエットや、細くした女性の眉や。

内容はモーパッサンの戯曲の翻案ということである。

池部良もそうだけど出演者の中には実際に出征してたひとや大陸に慰問団で回った俳優さんたちもいるだろう、そういう「こないだの戦争」感はなんか画面に漂ってる気がするな。こちらの思い込みかもわからんが。実際には引き揚げ途中の邦人なんてこんな小綺麗じゃなかったかもしんないし、それともこの程度には余裕かましてたのかもしんない、どうだろうな、誰か「引き揚げ」を知らないか。