こないだ車のCMの「家族の形が変わっても」を物理的な意味かと思って戦慄したと書きましたが、
あれだ、家族の形が物理的に変わるといえば吉村昭の『羆嵐』の
「おっかあが、少しになっている」
が衝撃ですね。羆嵐読んでないけど。
おっかあが少しになっている。
家族の物理的・計量的変化の決定版。
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「地面師」ってなんだよ、「不動産詐欺」でいいじゃんかよ、流行語大賞狙いかよ、
…と思ったら、「地面師」って結構古い言葉なんだな。
ハコ師、ノビ師、ゴト師、そのあたりの隠語と同じ時期に使われてた言葉らしいので昭和、もしかすると戦前からある言葉なのかも。
そいや野坂昭如の小説に「エロ事師たち」ってあるね、ハコ師(電車専門スリ)やゴト師(パチンコ不正)に比べれば地面師やエロ事師は何やってるかわかりやすいな。いわゆる隠語ではないのかも。
サクマのドロップス缶とか山本山の海苔缶とか、野坂昭如の小説ではよく食いもんの缶々に子供の骨が入ってる。
平成最後の巨額詐欺、今回の地面師が餌にしたのが五反田の旧旅館「海喜館」の敷地だそうで。
この海喜館、ちょっと前までいちおう営業してたみたいですね、予約を受けたがらない女将さんになんとか食い下がって泊まったスキモノの方々のブログ記事を見るとすんごいそそる昭和風情、麻吉旅館に通じるものがあるな。
あ、わしわしの「ちょっと前」はだいたい10年くらいです。2008年、ちょっと前でしょ?夢+夜、ちょっと前でしょ?
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資生堂、舞台専門部門の商品製造継続へ。
歌舞伎役者さんのツイートが話題になった時に「ツイッターで拡散希望じゃなくて資生堂の窓口に言えば?」という意見を目にしたけど、ご当人が経緯を書いた記事を読むと最初にお客様窓口に連絡した時は「もう廃盤になりましたので」とにべもないお応えだったそうで。
ツイッターすげえな。やっぱ拡散希望だよ、世論を動かさないとだよ。
日本の企業は「お客さんの声」より「世間様の声」が効くんだよ(か、どうかは知らんけど)。
報道にあった、資生堂の舞台専門シリーズの取扱開始が1973年と意外と最近だったので意外だった。いや45年前はさすがに最近じゃないな。もっと古くからある商品なのかなと思ってたのよ、1950とか戦前とか、創業以来とか、そういう。
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古い化粧品…といえば、昔コティの白粉のパッケージにキュンときて容れ物欲しさに買ったことあったな、ハタチくらいの頃なのでさすがに「昔」と思う。四半世紀前だ。
今も本国フランスでは製造されてるけど日本での販売はしてないみたい、向こうの定番商品は息が長いな。
買おうとしたとき美容部員さんに「この商品、お粉が細かくないからいかにもお化粧しましたっていう古くさい感じの仕上がりになりますよ、ご年配の方しか買っていきませんよ、いいんですか?」とかなんとか言われたのを覚えている。すごく(パッケージに)憧れて買ったけど店員さんのオススメ商品ではなかったらしい。安かったしな。
モネのラ・ジャポネーズに通じる東洋趣味的なセンスを感じるじゃありませんか。