2021年8月1日日曜日

返校

コロナが流行り出して以来、映画も演劇もライブも行ってない。と思う。
上演自体が減ったり、間引き客席でチケットが取れなかったり、そもそも人の多いところに出向く気になれなかったり、理由はいろいろ、いや、理由はコロナ。

そんな折、うどん屋さんで新聞の映画評欄みて目下公開中であることを知り、センチュリーシネマ行って台湾映画『返校』観てきた。
台湾で公開された頃から日本公開を楽しみにしてて、でもその後コロナだなんだでちょっと忘れてた。台湾の白色テロを題材にしたホラーゲームが原作。
急にでっかい音が出るとかのホラー的演出は嫌いなんだけど白色テロの時代をどう描写するのかなって興味で。

で観に行って、終盤で泣き出してしまい、エッなんでホラー映画で泣いてるの、当惑と恥ずかしいのとでマスクを目の下まで引っ張り上げて隠した。

極めて私的な不平不満や妬み嫉みを国家的大義に託けて糾弾の材料にする描写って胸に刺さるんですよ。陳凱歌の『覇王別姫』の文革の場面とか、遠藤周作の『王妃マリー・アントワネット』のマルグリットとかですね。で、社会正義の名で制裁して心に安寧が訪れるかっていうとそうでもない。お辛い。

あくまでホラー作品としてフィクショナルなモンスターも出てくるけど、実際戒厳令下の社会はこれに近い状況だったんだろうなあ、と思う。
わしわしが中高生の頃、思い起こせば世界はディストピアSF的だった、一つの国家が西と東に分断されたりついでに首都も西東に分けられたり、眼鏡をしてる=インテリは殺されたり、相互監視で思想を統制されて異分子は処刑されたり、そういうことが地球上のどこかで実際にあった、あれ最近も近場であるような。

希望はあるだろうか、先へ行くことはできるだろうか、この呪縛から解かれる日はあるだろうか、浄化することができるのは何だろうか。