2021年7月9日金曜日

天地

伊豆山で大規模土石流が起きた日、次々ネットニュースに上がってくる現場の動画に胸が痛んだ、それから、その午後には地理情報系の方々が「現場付近の3D地図」や「標高の経年変化グラフ」をサッと作ってSNSで公開していて、仕事が早いな、と、感心した。
3日もすると県やアジア航測が崩落後の現場の航空写真やレーザー測量データを公開、そのデータを元にまた有志が崩落状況の3Dモデルを作成して流出した土砂量を推計し…と、プロフェッショナルがそれぞれの持ち場で災害に即応していた。
例えばこのような。


あるいは


このように、データさえオープンになっててくれれば、知恵者が参集、いや実際はオンラインネットワーク上に散在しているのだけど、知恵が集まってくれるのです。そしてそうやって作成されたモデルが公開されることで被害の拡大を未然に防いだり救助計画を立てたり次の行動に繋がるのです。これがデジタルトランスインフォメーション。ってか。

この一連の地理情報データ分析のスピード感に貢献していたのが、静岡県が先進的にやってきた「virtual shizuoka」の取組で、2年前の全日本建設技術協会での講演資料がまだ全建のHPにある
発表用の「パワポ資料」独特のクセがありますが、内容はいろいろと凄いと思うの。

P3の「明日起こるかもしれない災害に備えて3次元点群データを蓄積しておく/被災後の3次元点群データ▷蓄積していた被災前のデータと重ね合わせ▷土量計算/横断面図作成」、この構想が思いもかけず早くに実現しちゃったのですね。
備えだけしておいて「結局杞憂でしたね」で済めばそれに越したことはないのです、災害は無い方がいいに決まっているのです、でも備えておけばこんなにも素早く被害規模の推計や原因究明や次の防災に進むことができるのです、「3つのソウハツ効果」で挙げられている「早発」の部分ですね。そしてデータがCC-BYで公開されていることがもうひとつのソウハツ「双発」の肝なのです。大掛かりな調査した、すげえデータ群ができた、よかったよかった終了、でスタンドアロンのサーバーに格納されたって大災害起きてイザという時には担当者はてんやわんやなのです、データが電子の網の上に遍在しているからこそ今回みたいに我こそはと思う達人が反応するのです、「知恵は多い方がいい」ってシンゴジラでも言ってましたよ。
あとなにげに県土全域網羅してるのも凄い(中心自治体だけとか都市部だけとかになりがち)(PLATEAUの3D都市モデルが東京データだけはげしく充実中とか)

今年3月、東日本の震災の時に東北地整の局長だった人のインタビューがNHKのサイトに載ってたっけ、
「備えていたことしか役には立たなかった」、言葉に重みを感じた。もしもの時に備えましょうとは誰もが言うことだけど、あらためてこういうことなんだな、と。

あれもこれもどこかで今の仕事に通底しているよなあ、うん、良い仕事しよう、より多くのことに備えられますように。